で、なぜクラシック・ロック・ファンが嫌なのかというと、

ナンシー・バーストン

クラシック・ロックを好きなこと自体は別にいいのですよ。
僕もクラシック・ロックで好きなものはたくさんあります。
でも問題なのは、クラシック・ロック・ファンの中にいる一部の人種。
彼らは新しい音楽を掘り下げる探求心・好奇心もなく、受け入れる感性もない。
そのくせ自分はロックだと思い込んでいるからタチ悪いのです。
そういう連中は自分の古臭い物差しでしか物を語れないので、よく「昔のロックは最高だった、今の音楽はトレンドばかり追いかけていてダメだ」とか抜かします。
音楽がどうこうではなく、そういうセリフを吐く奴が一番ロックじゃないのですが、奴らは馬鹿なのでそんなことには気づきません。
そして家に帰り、もう何百回聴いたか判らないようなアルバムを聴きながら悦に入るのです。


クラシック・ロック・ファンはCDを買わないと自分がロックだというアイデンティティを保てないので、たまにレコード屋に足を運びます。
でも最近の音楽なんて知らないし、興味すらないので、学生時代にアナログ盤を持っていたアルバムのデジタルリマスター盤CDとか、紙ジャケ盤CDを買うわけです。
そして「今日もCDに2万円も遣っちまったよ。俺ってロックだな」と満足するのです。


80年代ブームとやらも、そういうクラシック・ロック・ファンに支えられたレトロで虚無な懐古ブームだったわけです。
自分が知らないモノを探求するのではなく、自分が既に知っているモノに浸って「あの頃は良かった」というだけのうんこなブームなんですよ。


そういうクラシック・ロック・ファンがご満悦になるような映画が『スクール・オブ・ロック』です。
大人がガキに自分の価値観を押しつけて、その価値観をガキが無条件で受け入れて万歳、という都合のいい話です。
で、それがロックというもっともらしいオブラートに包まれているのです。
サントラにロック音楽は使われていても、ロックのかけらもない映画ですね。

(つづく)