CHELSEA WOLFE: PAIN IS BEAUTY


チェルシー・ウルフの新作『PAIN IS BEAUTY』を聴きました。 それぞれの曲が彼女自身のパーソナルなものでありながら、聴く人それぞれのイメージをかき立てます。 「House Of Metal」の、"花びらの中に錠剤を入れて、花びらごと口に運ぶ"という情景がかわいくおしゃれで凄惨だったり、「They'll Clap When You Die」が介護疲れで死にたい人妻を想像させます。 チェルシー自身の意図したイメージとは異なるかも知れませんが、作品は世に出た瞬間に大衆のものとなるので、それはそれで良いのです。 メンヘラ女性シンガー・ソングライターということで、どうしてもビョークとかP.J.ハーヴェイとかゾラ・ジーザスとかと比較されがちですが、チェルシーチェルシーで独自の世界観を築いています。 「The Warden」は80sニューウェイヴ、「Destruction Makes the World Burn Brighter」はアンジェロ・バダラメンティと一緒にやっていた頃のジュリー・クルーズを思い出したりもしました。 日本盤CDには歌詞対訳が付いていて、それは彼女の世界観を日本語に置き換えようとしたひとつの試みですが、あくまでひとつの試みに過ぎないので、オリジナル英詩にあたって欲しいです。

THE MEZMERIST: THE INNOCENT, THE FORSAKEN, THE GUILTY


THE MEZMERISTの『THE INNOCENT, THE FORSAKEN, THE GUILTY』を聴きました。 西海岸メタル・バンドの1983年頃に録音されたファーストEPと1985年頃に録音されたセカンドEPをカップリングしたCDで、おまけDVDが付いています。 ヴォーカル兼ギターのトミー・メズメルカルドが率いていたTHE MEZMERISTですが、ファーストEPにビル・ワードが参加したことで知られています。BLACK SABBATHの『BORN AGAIN』を発表して、ツアー不参加となった時期の音源でしょうか。言っては何ですが、あまり良いプレイは聴けません。 というかメズメルカルドの変な裏声ヴォーカルがしょっぱ過ぎて泣けます。 セカンドEPでは裏声はやっていませんが、だからといって何か素晴らしいことが起こっているわけでもないです。 DVDはメズメルカルドが思い出話を40分間しゃべって、CDブックレットで使われているのと同じスチル写真が出てきたりします。DREAM THEATERのジョーダン・ルーデスやSOCIAL DISTORTIONと友達だそうです。 かなりしょっぱい作品ではありますが、Shadow Kingdom Recordsをレーベル買いしている人だったらしょっぱさ込みで愛することが出来そうです。誰にでもおすすめ出来る音楽ではありません。

CAPTAIN BEYOND: LIVE IN TEXAS, OCTOBER 6, 1973


CAPTAIN BEYONDの発掘ライヴ音源CD『LIVE IN TEXAS, OCTOBER 6, 1973』を聴きました。 セカンド『SUFFICIENTLY BREATHLESS』を出した後、アーリントンのテキサス大学でのライヴ。 レーベルがCleopatra系のPurple Pyramidという時点で、既に眉に唾している人も少なくないと思いますが、昔『FAR BEYOND THE DISTANT SUN』というタイトルで出たやつと同じ音源で、特にリマスターとかしていないっぽいです。 音質は良好とは言い難いですが、サウンドボードだし、『LIVE ANTHOLOGY』に入っていた1971・1972年のライヴよりはマシなので、まあ許します。さらに5ページのCDブックレットがやけに詳しくて嬉しいです。ジャケットのビヨンド船長もちょっとかっこいいです。 ブックレットにvast archive of unreleased live materialと書いているのは、今後もこのアルバムのような音質のライヴ盤がたくさん出るということなのでしょうか。ひえー

BLACK WIDOW: SEE'S THE LIGHT OF DAY


BLACK WIDOWの『SEE'S THE LIGHT OF DAY』を聴きました。2枚組のライヴ&レア音源集。 1971年5月10日、ミラノTeatro Liricoでの発掘ライヴが目玉です。 以前出たCD+DVD『LIVE』の衝撃はないものの、音質もそれなりにクリアーで(上記のCAPTAIN BEYONDよりはずっと良いです)、演奏内容も良いです。 さらに以前『RETURN TO THE SABBAT』として出ていた音源がまるまる収録されています。本作を買うようなファンだったら既に『RETURN TO THE SABBAT』は押さえていると思うので、あまり嬉しくないかも。 さらに前身バンドPESKEE GEE!のシンガーだったケイ・ギャレットの1971年のソロ・アルバム用に録られた3曲を収録。そのうち2曲はコンピレーション『COME TO THE SABBAT - THE ANTHOLOGY』にも入っていたやつでしょうか。そのコンピレーションには未発表曲はその2曲しか入っていなかったので、ここでまとめて聴けて嬉しいです。さらに11分50秒の「Daddy Blue」が初登場です。 あと「Mary Clark」デモ・ヴァージョンも初登場だと思います。 みんな大好きBlack Widow Recordsからのリリースで、2LP+10"アナログ盤も出ていますが、僕はCDで聴きました。