岡田則夫『SPレコード蒐集奇談』


飲み会で上司のハゲ頭にポコチン/睾丸を乗せる、いわゆる"ちょんまげ"のことを英語でteabaggingと呼ぶそうですが、黒人居住区を1軒1軒「いらないレコードありませんか」と回ることをcanvassingと呼ぶそうです。キャンバシングの歓びについては『ビニール・ジャンキーズ』とか、CD『THE STUFF THAT DREAMS ARE MADE OF』『THE RETURN OF THE STUFF THAT DREAMS ARE MADE OF』ブックレットに書いてあって面白いです。黒人居住区にいきなり白人が来てドアをピンポン鳴らすので、「何の用だっ」と猟銃を突きつけられたりするそうです。
さすがに日本ではそんな危険な目に遭うことはないようですが、日本中の骨董市や古道具屋を回ってSPレコードを探し求めてきたのが岡田則夫さんで、彼のレコード探訪の軌跡を綴ったレコードコレクターズ誌の名物連載をまとめた『SPレコード蒐集奇談』が昨年12月に単行本化されました。一気に読むのがもったいなくて、ここまで時間がかかってしまいました。
1986年から続いている連載から40編をピックアップしたそうで、現物を手にするまでは「40編ぽっちかよ全部入れろよ」とか思っていましたが、実際には分量もたっぷりで、しかも密度が濃い!おそらく岡田さんと僕ではターゲットとするレコードは1枚も重複しないと思いますが、日本全国を行脚してレコードを狩る情熱と執念と愛には、時にドキドキ、時にニヤニヤしてしまいます。コレクターでありながらギスギスしたところのない岡田さんの人柄も窺えて、とても楽しく読むことが出来ました。SPレコードとかにまったく興味がなくても、レコード漁りをしたことがある人だったら、きっと楽しめると思います。おすすめ。