柳沢きみお:俺にもくれ


ベチ先生の『俺にもくれ』前後巻を読みました。タイトルがあまりに秀逸なので前から気になっていたものの、わざわざ買うのもなあと躊躇していたのですが、ふこをさんが「名作」と言うので背中を押されて読んでみました。
ベチ先生の漫画、ちゃんと追っているわけでもないのですが、近年の作品は、最初は真面目に描いていても途中から絵もストーリーも荒れだして、ヒットシリーズである『翔んだカップル21』とか『特命係長只野仁ファイナル』ですら容赦なくテキトウになっていくのが凄いです。最近読んだ『夜に蠢く』はかなり初期段階から金・女・中出し・酒・寿司・焼肉・ラーメンなど、おっさんの欲望をコラージュしたバロウズ的な衝撃作品でした。一度テキトウな終わり方をしたのに『続〜』で再開されて、さらにその場の思いつきのようなエンディングを迎えた大傑作です。ブックオフの105円コーナーで見つけたらぜひ。
で、『俺にもくれ』ですが、主人公が家族を捨てて東京に来て、歌舞伎町で「人生よろず相談室」を開くという話でした。電子書籍サイトだと自分探しの話みたいに書いてあったけど、別に自分探しはせず、いろんな事件に勝手に巻き込まれて、話の流れでヤクザの組長になってしまいました。やはり最後は特にオチをつけることもなく終わるのですが、2冊でコンパクトに終わるので、さほど投げやり感はありません。ところで『俺にもくれ』というタイトルの意図は最後まで判りませんでした。