【ボツ原稿】ロックは宇宙からの電波を受信する
以下、ボツ原稿です。嫁入り先がないので、ここに掲載します。
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
3月にアメリカで刊行されたサミー・ヘイガーの自伝『Red: My Uncensored Life In Rock』で、UFOによる拉致体験が語られていることが、関係者とファンの間で衝撃を呼んでいる。サミー曰く、ジーバ星人からコンタクトがあったのは18歳の頃。部屋で寝ていた彼はいつの間にか拉致され、脳内のすべての情報をダウンロードされてしまったという。その代わりに彼の脳にアップロードされた情報によると、ジーバ星人は9次元の世界からやってきた宇宙人なのだそうだ。
40年におよぶキャリアで常に”正しい”アメリカン・ロックを奏でてきた”レッド・ロッカー”のサミーはヴァン・ヘイレン脱退時の泥仕合にも比較的冷静に対処、3軒の『カボ・ワボ・カンティナ』チェーンを経営するなど、ロック界においては常識人というイメージがあったが、この常軌を逸した記述は少なくない数のファンを驚かせた。
実際のところ、常人よりも五感が研ぎ澄まされたミュージシャンは、霊やUFOを引き寄せることが多いらしい。ニナ・ハーゲンは1980年、妊娠中に寝室が突如光に包まれ、胎内を宇宙人に調べられたという。また、今年4月に亡くなったフィービー・スノウもウイジャ・ボード(コックリさんに似た降霊板)を通じて、宇宙人とコンタクトしていたそうだ。徐々に電話をかけてきたり、密接な接触を求めてきたことに怯えたフィービーは、映画『未知との遭遇』監修でも知られるUFO学者J・アレン・ハイネックに相談。その後、宇宙人からの接触はなくなった。
そのような具体的な接近遭遇はなくても、ミュージシャンは概して宇宙人やUFOに強い関心を持っているものだ。バンド名もそのものズバリのUFO、またUFOを指すスラングであるフー・ファイターズがいるし、ありし日のマイケル・ジャクソンは自宅にUFO用の滑走路を造って、宇宙人がいつでも来訪できるようにしようと考えていた(実現には至らなかった)。また、ブラック・サバスのギーザー・バトラーはネヴァダ州の”エリア51”近くに自動車で向かい、軍隊に取り囲まれた経験があると語っていた。
ロック・ミュージシャンが宇宙人に興味があるならば、宇宙人もロック音楽に興味がある筈だ。だったら世界各地でロック・コンサートを行って、それを宇宙に向けて発信すれば彼らが地球にやってくるに違いない!...と論じている人物がいる。ニューヨーク在住のUFO研究家兼ライター、マイケル・C・ラックマンだ。彼はニューヨーク、ロンドン、ベルリン、東京などで”シグナルズ・トゥ・スペース・コンサート”を開催することを提唱、ポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズ、デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョン、エアロスミスらをヘッドライナー候補に挙げている。
もし実現すればロック史上空前の規模のイベントになるが、現時点では可能性はゼロに近そう。ラックマンの著書『Alien Rock』はロックと宇宙人の関連について徹底調査、300ページ以上を費やした力作だが、ボブ・ディランの「ローランドの哀しい目の乙女」歌詞の「彼らは隠していた天使の屍を見せる」という一節について「これはロズウェルのUFO墜落事件で回収された宇宙人の死体の公開について歌っている!」と論じるなど、少なからず怪しげな箇所もあったりする。それでも彼は、先日ロイヤル・ウェディングを挙げたイギリスのウィリアム王子が自分の愛読者であり、英国王室のバックアップを得てコンサートを実現させる!と鼻息が荒い。
はたしてラックマンが星空に架けたロックと地球外生命体の虹の橋は、現実のものになるのだろうか?それとも彼は宇宙からの毒電波を受信した、あちら側に属する人なのだろうか。その真実は、遠くない将来明らかになるだろう。