SANCTA SANCTORUM: THE SHINING DARKNESS


DEATH SSの魅力がその怪しさ・いかがわしさにあったことは、彼らのアルバム全7枚中4枚しか聴いていない(あとベスト盤と初期音源集とヒストリー・ビデオは押さえた)僕にもひしひしと伝わってきたのでありました。『THE STORY OF DEATH SS 1977-1984』でのポール・チェイン在籍期音源からしてインチキ臭さが漂っていましたし、最後のアルバムとなった『THE 7TH SEAL』(サタンとの契約書はこちら)にしてもマリリン・マンソンもどきに堕する一歩手前の作風ながら、本家を凌ぐ怪しさ・面妖さが単なるクローンと呼ばせないアクと個性を放っていました。
ティーヴ・シルヴェスターにとってDEATH SS解散後、新しいバンドであるSANCTA SANCTORUMのデビュー作『THE SHINING DARKNESS』においても、怪しさ・いかがわしさは全開です。70年代スタイルのドゥーム・ロックに身を置いての再出発となったこのアルバム、狙いがはっきりし過ぎてあざとく感じもするのですが、シルヴェスターのヴォーカルにあまりに変な存在感があって、盆百のドゥーム・バンドとは一線を画しているのでした。彼の癖のある歌唱については単なる「ヘタクソ」という批判もある一方、彼が歌うとどんな曲調も怪しくなってしまうのは大きな才能だと思います。本作ではそれがダークなドゥーム・ロックに暗いアンダーグラウンド臭をもたらしているのが素晴らしいです。さすがBlack Widow Records、怪しげなイタリアン・ダーク・ロックを出させたら一級品です。最近の作品はアマゾンとかHMVでは扱っていないので、入手にひと工夫要りますが。
LP・CD共に限定盤(各66枚)にはアルバムのアートワークをプリントしたキャンバスが付いてきます。絵画みたいに壁にかけることが出来ます。怪しいです。LPは赤盤で、シルヴェスターのサイン入りカード入り。