PRIMAL SCREAM: BEAUTIFUL FUTURE

書こうと思ってすっかり忘れていました。
今年フジロック出演のために来日したPRIMAL SCREAMボビー・ギレスピーがレコード会社担当氏にまず最初に頼んだのが「スピード・グルー&シンキのCDが欲しいんだけど」だったそうです。
確かにPRIMAL SCREAMは60年代後半〜70年代前半の映画、ドラッグ・カルチャー、オールド・ロックとかへの傾倒など、時折”こっち側”の匂いを感じさせるのです。『VANISHING POINT』(97)ではHAWKWINDの「Motorhead」をカヴァーしているし。
ただ彼らの場合、独自のソングライティングが確立されているので、良くも悪くも何をやってもPRIMAL SCREAM節になってしまいます。エレクトロニカに接近してみてもトム・ダウドをプロデューサーに迎えても、取り込まれてしまうことがなく、微妙な距離をとっています。
そのへんの"オリジナリティの強さとウワモノの借り物っぽさ"という取り合わせは本人たちも自覚してやっているらしく、「Country Girl」ミュージック・ビデオではヨナス・アカーランドを監督に起用、プラスチックな嘘んこアメリカーナを表現しています。
で、最新アルバム『BEAUTIFUL FUTURE』は80年代初頭にあった"未来っぽさ"を取り入れたアルバムですが、やっぱりPRIMAL SCREAM節が揺らぐことはありません。
今回もHAWKWINDの「Urban Guerilla」をカヴァーしてみたり、QUEENS OF THE STONE AGEジョシュ・ホーミがゲスト参加している曲は「Monsters In The Parasol」風だったり、"こっち側"への目配せもありますが、あくまで味付けとしてです。そのあたりちょっともどかしいです。
僕はPRIMAL SCREAM節は好きだし、彼らの持つオリジナリティに敬意も抱いているのですが、それをかなぐり捨てて馬鹿になって、思い切り向精神性ロックの世界にどっぷり浸かってみたら凄い作品を作ってくれるような気もするのです。
ところで安易に"こっち側"という言葉を用いてみましたが、なんとなくこのブログによく出てくるような音楽、ということで、明確に定義はしていません。ピャウ