A Fantastic Fear Of Everything


映画『A Fantastic Fear Of Everything』を見ました。2012年公開。主演サイモン・ペグ。監督・脚本クリスピアン・ミルズ。たぶん日本未公開だと思いますが、DVDスルーとかで出ているかも知れません。
KULA SHAKERのクリスピアン・ミルズの映画監督デビュー作です。サイモン・ペグ演じる童話作家ビクトリア時代の犯罪実話本を書こうとして、少年時代以来のクリーニング店恐怖症と直面して...というコメディ映画。
“ロック・スターが作った映画”という感じは皆無で、すごくしっかり作られています。サイモン・ペグの『ショーン・オブ・ザ・デッド』なキャラを踏襲しているようではありますが、ブリティッシュなブラック・ギャグが満載で、たいへん面白かったです。もうKULA SHAKERは止めて、映画に本腰を入れた方が良いのではないかとすら思います。
【ネタバレ】主人公の犯罪実話本に興味を持ってくれる出版社がなくて、唯一興味を示したのが“ハーヴェイ・ハンフリーズ”という人物なのですが、主人公は「ハーヴェイといえば...殺人医師ホーリー・ハーヴェイ・クリッペンの親戚に違いない!」と被害妄想を抱いて、生命の危険を感じます。このハーヴェイさんは最後になってようやく姿を現すのですが、その顔がクリッペンそっくりというオチ。 イギリスでは何の説明もなくともクリッペンの顔が浸透しているのですね。素晴らしいことです。
なおクリッペンはエドワード7世の統治時代の1910年1月に奥さんを殺して(冤罪説もあり)、ジョージ5世の時代の同年7月に逮捕されたので、ビクトリア女王は関係ないのですが、映画中で“ビクトリア時代の殺人者”と呼ばれているわけではないので、まあ問題ないです。
クリスピアン・ミルズの家族はみんな映画業界に関わっていて、特に有名なのはお母さんのヘイリー・ミルズで、映画『汚れなき瞳』の主役を演じています。 納屋に逃げ込んだ脱獄囚のことをイエス・キリストだと子供たちが勘違いするという話。ラストシーンで脱獄囚が警官たちに身体検査されるときの両手を拡げたポーズが、十字架にかけられるキリストと同じというのが、おーっと思いました。 この『Whistle Down The Wind』、アンドリュー・ロイド・ウェバーがミュージカル化もしています。 あと平成版『まことちゃん』で、まことちゃんイエス・キリストを匿うというエピソードがありましたが、『汚れなき瞳』が元ネタなのでしょうか?