ROOM 237


映画『Room 237』を見ました。映画版『シャイニング』を検証&分析したノンフィクション映画で、ネイティヴ・アメリカンやナチ、月面着陸、ギリシャ神話などを絡めて、すさまじい掘り下げをしています。正直、それは妄想じゃないかという箇所もあり、また、『シャイニング』を最初からと逆回しで同時にスーパーインポーズして見ると面白いよ!...などという訳わからんパートもありますが、『シャイニング』に徹底的にこだわる姿勢は、学ぶことが多かったです。
スティーヴン・キングの原作では赤だったフォルクスワーゲンが、映画では黄色となっている。そして、ハロランさんがダニーを救いに行く途中、赤のフォルクスワーゲンが道路脇で事故に遭っているシーンがある。それはキューブリックのキングに対する『原作通りなんかしないよバーカ』という宣言」
「幽霊が出る部屋は原作では217号室だったのが、ロケ先のホテル側から"ホラー映画に実在の部屋番号を使うと、その部屋にお客さんが泊まりたがらなくなる"とクレームがあり、架空の237号室にしたというのが定説。でもそれは事実でなく、ロケ先ホテルには217号室も存在しなかった。キューブリックが"237"という数字にこだわったのは、アメリカの月面上陸がフェイクで、彼が月面上陸のフェイク撮影に関わっていたから。地球から月への距離は237,000マイルである(しかもダニーがアポロ11号セーターを着ていたりする)」
「ホテルの人事担当のウルマンさんがジャックと最初に握手する瞬間、机の上のペーパーフォルダーの角度がちょうど、ウルマンさんが勃起しているように見える」
など。
『シャイニング』深読みネタは、ネット上のあちこちで行われているので、いろいろ読んでみると面白いです。
それを考えると、深読みの余地のない"蜘蛛の巣&骸骨"のシーンがコンチネンタル・ヴァージョン(日本公開版)でカットされたのも納得がいくような気がします。
エクスペンダブルズ2』のおかげで、日本でも100万年遅れでチャック・ノリス・ジョークが流行ったように、本作をきっかけに『シャイニング』深読みが流行ったら面白いと思います。
あとさりげなく『ホワイトバッファロー』『狼男アメリカン』『デモンズ』『バグダッドの盗賊』などのシーンが入っていて、面白かったです。
僕はCDライナーノーツなどをたまに書かせていただくことがありますが、この映画、あるいは『CROSSFIRE HURRICANE』の寺田正典さんの5万字ライナーノーツなどをお手本にして、作品にのめり込み狂った文章を書きたいと、思いを新たにしました。