Hubert Sumlin: Living The Blues


10月28日発売のヒューバート・サムリンのDVD『LIVING THE BLUES』のテープ起こしをやらせていただきました。ブルータルなまでに苛酷な作業でした。
ハウリン・ウルフの相棒ギタリストとして「Killing Floor」「Spoonful」「I Ain't Superstitious」「Smokestack Lightning」などでプレイしてきたアメリカ黒人ブルースマンですが、なんせミシシッピの前歯の抜けたブルース爺さんで、僕のヒアリング能力では聞き取るのが困難な上に、口数が多いです。それで半泣きになっていたら、同じDVDに入っているジェイムズ・コットンの談話はもっと聞き取りづらかったです。1時間半のDVDで、半分ぐらいはトークです。テープ起こしの文字数は1万8千字ぐらいになりました。(DVDに字幕を焼き付けるのではなく、別冊ブックレットを添付することになります)
「こういうことを言っているのかな?」とアタリをつけるためにいろいろ資料をひもといたりして、いわゆるテープ起こしの領域をはるかに超える作業でした。
「たぶんこう言っているに違いない」と憶測で訳した部分も何箇所かあり、ハッキリ言って誤訳もあると思われますが、DVDを見るにあたって役立つレベルのものにはなったと思います。
しかしDVDの内容は、そんな苦労を補って余りある素晴らしさです。ヒューバートがギターを弾きながら自分のスタイルを解説したり、シカゴの街を案内したり、レヴォン・ヘルムデヴィッド・ヨハンセンと共演したり、なんだか黒人が踊っていたり、魚市場兼ライヴ会場というDelta Fish Marketが出てきたり、とにかく面白い!ライナーノーツも書かせていただきましたが、映像が面白いので、捕捉データを付け加えた程度です。
ミシシッピ生まれ→教会でギターを始める→農場で働く→メンフィスに行く→シカゴに行く→マディ・ウォーターズハウリン・ウルフと共演→イギリスとかヨーロッパで人気→アメリカでも逆輸入で人気という、この人の人生そのものが20世紀ブルースの軌跡なので、ブルースはよく判らんけど何か映像ものを見てみたいという人にもおすすめ出来ます。価格もアマゾンだと27%引きで、輸入盤とあまり変わらないので、絶対日本盤を押さえた方が良いです。