『肉体の悪魔』


ルーダンの悪魔憑きをネタにしたケン・ラッセルの1971年の映画『肉体の悪魔』が最高なのです。
最初に「この物語は歴史的事実に基づいています」と出てくるのですが、ルイ13世武田久美子みたいに乳首と股間に貝殻をつけただけの全裸で人前に出たり、修道尼たちが大挙レズ乱交とか、たぶん歴史的にしていないのでは。 ...と思ったら、ラッセルは「当時そういうことが起こったんだよ!」と語っていました。
グランディエを演じるのはオリヴァー・リード。この人は1973年の『三銃士』(大好き!)でアトスを演じていたり、妙にリシュリュー枢機卿に逆らってばかりいますね。
グランディエはイケメンなので、性的欲求不満の溜まった修道尼たちがズリネタにしています。で、尼僧ヴァネッサ・レッドグレーヴが「夜になると夢魔がグランディエの姿となって私を犯すのです」と告白したりします。この頃ルーダンはカトリックプロテスタントの棲み分けが微妙な町で、自治を求めるグランディエが邪魔だったりして、しかも彼が土地の有力者の娘をできちゃったヤリ逃げしていて、さらにリシュリューに楯突く煙ったい存在なので、渡りに舟とばかり「グランディエは悪魔と契約して、修道尼たちを淫乱痴女にした!」ということになってしまいます。で、両肩を露わにしたロック・シンガーみたいな司祭とかおかっぱの司祭に裁かれて、拷問されて、火あぶりになります。
この映画は公開当時かなりの賛否を巻き起こしたらしく、特にキリスト教的にヤバイ表現が今なお問題視されていて、そのとばっちりを喰らって日本では昔ワーナーホームビデオからビデオが出たけど、未DVD化。で、国とかソフトによってカットがあるそうです。我が家にあるのは出所不明のダビング物(【追記】DVDも買いました)ですが、修道尼たちが大勢素っ裸になってキリスト像の顔面にマンコを押しつけたりするシーンは入っています。でも最後、修道尼がグランディエの遺骨の骨をマンコに突っ込んでオナニーするシーンは入っていませんでした。
現在アメリカで出ているDVDはspecial uncut restored editionも必ずしも本当の完全版ではないらしいですが、ケン・ラッセルのインタビューとか制作ドキュメンタリーも入っているので、これを機会に押さえておこうかと思います。
イギリスの作曲家ピーター・マクスウェル・デイヴィスが書いた音楽も素晴らしいです。サントラ盤のジャケット・アートも秀逸。

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フランス国立図書館に所蔵されているグランディエと悪魔との契約書。