兄を悼む

現在の自分に大きな影響を与えた人物の一人に、年の離れた兄がいます。
実家に帰るとよく揶揄されるのですが、僕が小さかった頃、母に連れられて誰だったか親戚のお見舞いに行ったとき、病室に入るや元気よく「ご臨終です!」と言ったそうです。
まだ幼児なのにそんな言葉を知っているはずもないので、おそらく兄の差し金だったと思うのです。
あと「黒沢年男はスケベだ」という固定観念も、兄の影響でしょう。
まず親に連れられていった映画『ノストラダムスの大予言』で黒沢年男が舟の上で由美かおるとスケベなことをするシーンがありまして、映画館で配られた新聞の号外を模したチラシにもそのスチル写真が載っていたのを鮮明に覚えています。
あと当時はそこいらの路上とか銭湯の脱衣所に公開中の映画のポスターが貼られていまして、子供への配慮とか関係ないのでポルノ映画のポスターもあったのですが、その中で『陰獣マフィア』という映画のものもあったのです。それが黒沢年男似の男(外人)が裸女の乳首を嬉しそうにつまんでいるというものでした。
なにぶん僕は幼児だったので、それが黒沢年男という俳優だということは知らなかったのですが、兄によると『ノストラダムスの大予言』のスケベ男も『陰獣マフィア』の乳首つまみ男も"毛利"という男なのだと。
それでわけもわからず「陰獣マフィア・毛利〜♪」とか歌ったりもしていました。
ちなみに"毛利"というのは『緊急指令10-4・10-10』での黒沢年男の役名なのでした。
それから「セックスライダー今日もゆく〜♪ 仮面ライダーセックス!セックス!セックス〜♪」という歌も兄に教わったものでした。
毎年12月30日になると、そんなことを思い出したりします。