中国超人インフラマン

中国超人インフラマン

DVDで『中国超人インフラマン』を見ました。
初めてこの映画の存在を知ったのは今から30年ぐらい前でした。アムステルダムの繁華街KalverstraatにあったAmerican Book Center(当時はうず高く本が積み重なっている汚い古本屋みたいな店でした。その後同じKalverstraatの広い店舗に移転して、今は近くのSpuiで営業しています)のバーゲンコーナーにあったKing Of The Monstersという雑誌の創刊号1977年4月号をキングコング記事目当てで買ったのですが、その中に『インフラマン』特集があったのです。ご覧の通り、当時の英語タイトルは『Infra-man vs The Volcanic Monsters』でした。今回のDVDでは『Super Inframan』と"スーパー"が付いています。
 
左が表紙、右が記事。表紙はド下手糞なイラストですが、中身は1933年版『キング・コング』ラジオドラマやCharlton Comics刊『巨大猿怪獣 Konga』のコミックのレビューなど、妙にコアな特集が組まれていました。編集長はRon Haydockという人で、wikipediaによると1977年8月にトラックに轢かれて亡くなっているので、おそらくこの創刊号が遺作になったのではないでしょうか。ちなみにこの号ではドナルド・F・グルートもゴジラ映画について寄稿しています。グルートといえばうんこ自主制作怪獣映画を何本も作っていることで知られていますが、何故かメジャー映画業界に顔がきき、『スター・ウォーズ帝国の逆襲』ノベライズ本や『ウルトラマンUSA』脚本を書いたりもしています。
話を『インフラマン』に戻すと、それっきり見る機会もなく、大畑晃一監督・著『世界トホホ映画劇場』ではイの一番に紹介されていたりして、よっぽどダメダメな映画なのだろうなと思ったきりだったわけです。
で、2004年9月にあっと驚く日本盤DVD化が実現したのですが、もちろん新品で買う気などさらさらなく、それからさらに5年の月日が経って、ようやく見ることが出来たのでした。
最初の感想としては、思ったよりちゃんとしているな、と。もちろん昭和の日本の特撮物のパクリで出来た作品ではありますが、怪人の着ぐるみをけっこうな数ちゃんと作っているし、殺陣にワイヤーアクションを取り入れたりしているし、いろいろ爆発するし、それなりに金はかかっているようです。インフラマンがとてつもなく強くて、超低温に弱いという弱点にも博士が「そのような時もあろうかと思ってこの装置を開発しておいた」というご都合主義でピンチを脱出しますが、日本だって「その時!赤ちゃんが泣き出して、プロフェッサーギルの笛の音がかき消された!」みたいな無茶苦茶なご都合主義があるわけだし。さすがに自分が巨大化して、人間サイズに戻った怪人を踏みつぶして緑色の液がぶちゅっと飛び散るのはどうかと思いますが。あと生身の女幹部の手首をスパッと切断するのも嫌。
なおインフラマンに変身するのは『北京原人の逆襲』などでおなじみのダニー・リーでした。
盛り沢山の内容で最後まで飽きないし、見て損はないと思います。得もしませんが、そんなの覚悟の上ですよね。