HARVEY MILK: LIFE... THE BEST GAME IN TOWN

HARVEY MILK

幻のヘヴィ・ロック・バンドHARVEY MILKが遂に日本盤初登場です。ジョー・プレストン(EARTH〜MELVINS〜HIGH ON FIRE〜THRONES)が正式メンバーとして加入。しかも日本盤のみデモ中心のボーナス・ディスク付2枚組。
HARVEY MILKといえば1996年の『COURTESY AND GOOD WILL TOWARD MEN』が超々々神盤で、静と動の対比が生み出すうねりがポスト・メタルの先駆者といえるバンドでしたが、なにぶんオリジナルはアナログのみでプレス枚数も少ないし、まともに流通すらもされず、まだネットもそれほど普及していなかったため、カルト的な支持すらされるに至りませんでした。
僕は2000年だかにtUMULtレーベルから出たCDを聴いて、最初はピンと来なかったけどじわじわと浸食されて、他の作品を聴かねば!と思ったら全然手に入らなくて、血眼になって探してようやく聴くことが出来た『THE PLEASER』がヘイ!ロックンロール!なサウンドに変貌していてびっくらこきました。
今ではRelapseが過去作品をボーナス・ライヴCDまで付けて再発しています。良い時代になったものです。
全然人気が出ず、98年に解散したHARVEY MILKですが、一部のコアな信奉者がネットの口コミとかで広めたせいで再評価の気運が高まり、2005年に再結成。『SPECIAL WISHES』を経て、遂に日本で初めてリリースされるのが『LIFE... THE BEST GAME IN TOWN』というわけです。
この新作はどちらかといえばHARVEY MILKのヘヴィ・サイドを強調したもので、1曲目「Death Goes To The Winner」を除くとポスト・メタル色はきわめて薄いのですが、そんなの気にならないほどのテンションの高さで、さらにアメリカン・ミュージックの伝統を随所に散りばめて、やはり一筋縄ではいきません。
MELVINSにも通じる悪意に満ちたユーモアもあり、ネタなのかガチなのか、ひきつった笑いを浮かべさせられます。
前作のジャケはジミヘンでしたが、今回はIRON MAIDENです。たぶん許可なんて取っていません。
このアルバムを聴くことで音楽人生がどれほど豊かになるか?というと、足を溝に突っ込んだようなもので、あとはズブズブ沈んでいくだけのような気もしますが、それもまた幸せのひとつのかたちです。出来るだけ多くの人に道連れになって欲しいので、みんなで聴いて堕ちていきましょう。ライヴが見たいです。