THE WRESTLER

The Wrestler

プロレス界を描いた1974年制作の映画『THE WRESTLER』をDVDで見ました。たぶん日本未公開。
プロモーター、フランクは各団体のエースが集結する"プロレス版スーパーボウル"を企画。全米のプロモーター達(ヴィンス・マクマホン・シニアとか)と相談しています。
ただ各プロモーター達はフランク派のエース、マイク・ブラード(ヴァーン・ガニア演じる)がロートルでハゲだということに難色を示し、新世代のイベントに相応しいエースを出すべきだと主張します。
そんなとき、ロード・ブレアースが「イギリスに凄いレスラーがいるぜ」とフランクに紹介してきたのがビリー・テイラービル・ロビンソン演じる)。
ロビンソンはダブルアーム・スープレックスニック・ボックウィンクルを葬るなどして、その実力を見せつけます。
ガニアとロビンソンは一緒にトレーニングしたりして友情を育みますが、結局"プロレス版スーパーボウル"出場権を賭けてリングで戦うことに。そして...!
...という話。
一応"演技"しているガニアとロビンソンは役名で出ていますが、他のレスラーは大半が実名で登場します。
ダスティ・ローデスディック・マードックが酒場で飲んでいるとハロルド坂田ともう一人東洋人(誰か判りませんでした)がやってきて「カラテstrong!レスリングweak!」と挑発、大立ち回りを演じるシーンでは、バーテン役でハードボイルド・ハガティが友情出演。
またマフィアが控室でフランクに「大金を賭けたからガニアに負けさせろ」と強要しようとするとクラッシャー・リソワスキーディック・ザ・ブルーザーが乱入、大暴れしたりします。
レイ・スティーヴンスが若手にトップロープからニードロップを落としたら死んじゃった、などというシリアスなエピソードも。
ワフー・マクダニエルやスーパースター・ビリー・グラハムもゲスト出演しています。
中でも興味深いのがガニアが主催するレスリング・キャンプのシーン。それ自体が"プロレスとは何か?"を説明する素材となっています。
まずミュンヘン五輪メダリスト、ダン・ゲイブルがアマレスのムーヴを講義。続いてウィルバー・スナイダーとエディ・グラハムがリングに上がり、それを教材にガニアがアマレスとプロレスの違いを説明します。
さらにロビンソンがジム・ブランゼルを相手に投げや関節技をエキジビジョン。アキレス腱固めも披露します。
プロモーターが主人公なのでオフィスも登場、写真入りで「特別参加:ジャイアント馬場」とあるポスターが貼られたりしています。この映画内ではガニアは"マイク・ブラード"を名乗っているのに"ヴァーン・ガニア"と写真入りで載ったポスターが貼ってあるのはご愛敬ということで。
ガニア自身がプロデューサーとして名を連ねており、オールド・アメリカン・プロレスのファン必見というのに加え、引退間近のアスリートの哀愁と最後のチャレンジを描いた佳作です。
輸入盤DVDで見ることが出来ますが、ジャケットの若いマッチョレスラーはいったいどこの誰なんでしょうか。