BILL NELSON: ATOM SHOP

5月27日の続きです。
ビル・ネルソン曰く、1990年代半ばの『PRACTICALLY WIRED』『AFTER THE SATELLITE SINGS』『ATOM SHOP』はイギリス人としての視点から見たアメリカーナとビート・カルチャーを描いた三部作なのだそうです。
確かにノスタルジックな香りもあるのですが、それに90年代風のエレクトロニクスやドラムン・ベースも取り入れられているのが特徴です。
インスト作である『PRACTICALLY WIRED』最初のナレーションは昔のレス・ポールを思わせる一方で、イギリスのおっさんが新しい音楽スタイルに殴りこみをかけているという点ではジェフ・ベック『WHO ELSE?』とかデヴィッド・ボウイ『EARTHLINGS』を思わせたりもします。
"年寄りの冷や水"と批判する人もいるだろうけど、武骨な老人が新しいテクノロジーにドカドカ踏み込んでいくのって、僕は好きなんですよ。
『AFTER THE SATELLITE SINGS』はヴォーカル・アルバムで、よりドラムン・ベースが顕著になっています。
で、『ATOM SHOP』もその路線なのですが、デモ音源で、本当は正式レコーディングしたかったけど予算がなくてそのまま出しちゃったというだけあり、なんか煮え切らない作品です。
曲も煮え切らないポップ/ロックだし、エレクトロニクスの入り具合も切れ味が鈍いので、前2作と較べてカタルシスに欠けます。日本盤CD帯には「驚きの会心作!」とありますが、あんまり会心作ではありません。
この人の作品は1/4もフォローしていないのであんまり偉そうなことは言えませんが。