JOE BOYD『WHITE BICYCLES - MAKING MUSIC IN THE 1960s』
(Serpent's Tail刊)
1960年代ロンドンのサイケ・ブームを象徴するUFOクラブのオーガナイザーとして知られるジョー・ボイドの追想録『WHITE BICYCLES - MAKING MUSIC IN THE 1960s』を読みました。超面白いです。
- 学生時代にロニー・ジョンソン、スリーピー・ジョン・エステスのコンサートを企画
- マディ・ウォーターズやシスター・ロゼッタ・サープ、サニー・テリー&ブラウニー・マギーのヨーロッパ・ツアーのツアマネ
- ローランド・カークのヨーロッパ・ツアーのツアマネ
- 1965年ニューポート・フォーク・フェスティバルのステージ・マネージャー。ボブ・ディランとピート・シーガーの板挟みになって困る
- BUTTERFIELD BLUES BANDにマイク・ブルームフィールドを加入させる
- PINK FLOYDのデビュー・シングル「Arnold Layne」をプロデュース
- 『WHAT'S SHAKIN'』制作で活躍
- UFOクラブで一大サイケ・ムーヴメントを巻き起こす
- FAIRPORT CONVENTION、INCREDIBLE STRINGS BANDをプロデュース、マネージメントを務める
- ニック・ドレイクをプロデュース、マネージメントを務め、プライベートな交流も持つ
などなど、1960年代のロック動乱の時代を仕掛けてきた男の波瀾万丈の冒険物語で、270ページがあっという間。
アメリカ生まれの彼ですが、1964年ロンドンのチャック・ベリーのライヴを見に来ていたジョン・リー・フッカーに観客たちが大「フッカー!」コールを送ったのを見て、「ジョン・リー・フッカーにこんなに人気があるなんて素晴らしい!イギリスに住むぞ!」と決意したそうです。
ブリティッシュ・ロックの仕掛人でありながら、アメリカ人であるがゆえに客観的な視点を持っていて、
「ヨーロッパの他国と較べてイギリスの音楽リスナーが伝統的な音楽を重んじないのは、1066年のノルマン征服によって"古い伝統=悪"という意識が植え付けられたから」と論じています。
それに同意するかはともかく、興味深い意見だと思います。
なおボイドがプロデュースを手がけた楽曲を集めたコンピレーションCDも発売されているので、読書のBGMにすると60sスウィンギング・ロンドンに飛び立つことが出来ます。
なおボイドのサイトはここ。