PEEPING TOM

マイク・パットンが過去6年かけて創りあげたプロジェクト・アルバム『PEEPING TOM』、遂に5月31日日本発売です。
パットンがMASSIVE ATTACKノラ・ジョーンズ、クール・キース、ダン・ジ・オートメイター、THE ROOTSのラーゼルらを向こうに回して歌うアルバムですが、ここ近年の作品と較べると格段に我々の知る"ロック"や"ヒップホップ"に近いアプローチを取っています。
発狂やフリークアウトは皆無で、メロディのくっきりしたヴォーカルは、FAITH NO MORE時代を思わせる箇所もあったりします。
ただ、だからといって聴きやすいかというとそうではなく、我々の知る"ロック"や"ヒップホップ"に近いがゆえに違和感が広がる音楽性になっていて、むしろ聴きにくい作品です。
どこまで本気でどこまでネタなのか判らない得体の知れなさは、コモドアーズの「イージー」をカヴァーした時のことを思い出したりもしました。
もっとも、パットン・ファンはそんな違和感や所在のなさに快楽をおぼえるものなので、全然アリです。
良いのか?良くないのか?という単純な二元論ではなく、複雑な表情で何度でも聴きたい作品でした。
MASSIVE ATTACKとの共演「Kill The DJ」は両者が譲らずお互いの個性をアピールしている点で、タイプ的にはMASSIVE withトレイシー・ソーンの「Protection」に近いです。曲調はまったく異なりますが。
ノラ・ジョーンズとのデュエット「Sucker」ではノラがビッチな歌声を聴かせています。バルトークの「Music For Strings, Percussion and Celesta」がサンプリングされて使われています。たぶん映画『シャイニング』サントラと同じ、カラヤン指揮のベルリン・フィル版。