ドラムン・ベースの思い出

DEREK BAILEY

10年ぐらい前、ドラムン・ベースが好きだった時期がありました。
『8時だよ!全員集合』のオープニング・コントのエンディング、通称「盆回り」を連想させる切迫感があるビートに魅力を感じていたのだと思います。
ただ、ちゃんとした本物のドラムン・ベースよりも、他の畑のミュージシャンが土足で踏み込んできたようなやつが好きでした。
(本物もいちおう最低限は押さえましたが。4 Heroがすっごくつまんなくってどうしようかと思った)
デビューした時はネオアコと呼ばれたエヴリシング・バット・ザ・ガールの『ウォーキング・ウーンデッド』とか、とにかく新し物好きのデヴィッド・ボウイの『アースリングス』とか、ピッチシフターの『www.pitchshifter.com』とか、ギーザー・バトラーの『ブラック・サイエンス』の曲とか、しまいにはゲイリー・ムーアまで『ダーク・デイズ・イン・パラダイス』でやっていました。
コートニー・パインもドラムン・ベースまではいかないけど、ブレイクビーツを取り入れた『アンダーグラウンド』を出すなど、成功したりしなかったり、なんだか混沌としたムチャクチャな状況が面白かったです。
そんな状況下、『GUITAR, DRUMS'N'BASS』というアルバムを出したのがデレク・ベイリーでした。
全編DJ NINJのプログラミングによるビートにインプロヴィゼーションのギターを乗せた作品で、必ずしも彼の代表作というわけではありませんが、こういう人までこういうことをやってしまうんだ!という、グラッと足場を崩されるシチュエーションを楽しんでいました。
ベイリーが亡くなったと知り、なぜか最初に思い出したのがドラムン・ベースのことだったのでした。