GANG OF FOUR『ENTERTAINMENT! LIVE 2005』

ここ最近クラシック・ロック至上主義がはびこっていて、とてつもなくイヤなのです。
そりゃまあ昔のロックにも良いものはたくさんありますが、「昔は良かった。今のロックはダメ」というような風潮には正直閉口させられます。
出版社やレコード会社にもそういうレトロ志向のスタッフが多いのか、若手バンドは「ロキシー・ミュージックに似てる」とか「ジャムに似てる」とか、過去のバンドを模倣していることが美徳とされてしまう始末。
アナログ盤のバチバチいう針音が好きだとか、ロック・バーは男の隠れ家とか、ああいやだいやだ。
そんなイヤ〜な状況下、フジロックのギャング・オブ・フォーのライヴは最高だったのです。
オリジナル・ラインアップによる再結成という、一見懐古趣味のように思える来日ライヴでありながら、脳に直接切り込むギターのカッティングと腰骨を打ちつけるダンス・ビート、「貧乏なんて嫌だ!」という直接的な生のメッセージ性には、レトロな感傷とか郷愁など入り込む隙がありませんでした。
「君の甘いキッス、君のすっぱい汗」という耳と舌にダイレクトに訴えかける歌詞も最高。
で、そのギャング・オブ・フォーがフジロック直後、ロンドンでやった『エンターテインメント!』全曲再現ライヴを収めたのが『ENTERTAINMENT! - OFFICIAL LIVE RECORDING / THE BARBICAN, LONDON 24TH SEPTEMBER 2005』です。
思えばフジロックでもほとんど全曲やっていたような気もしますが。
先日の『リターン・ザ・ギフト』も、セルフ・カヴァー集というヌルイ企画でマススパーの筈がガチになってしまった純度の高さが見事ですが、このライヴもグイグイ音が耳に押し入ってきて、実に素晴らしいです。
ボードから直接録ったリアルで尖った音が彼らの音楽性にマッチしていて、前立腺を刺激してくれます。
一般リリースはされず、ここから通販できますので、ぜひ聴いてみましょう。