RAGE AGAINST THE MACHINE @幕張メッセ国際展示場

RAGE

RAGEというとネタの域にまで到達したガチガチポリティカルぶりが素晴らしいバンドです。
DVD『THE BATTLE OF MEXICO CITY』ではオフショットで「さあ、市内観光に行こうぜ!」と言って出かけるのがトロツキーの家だったり、ハリウッド映画版『ゴジラ』に新曲「No Shelter」を提供したかと思ったらビデオ・クリップでは

  • ムミア・アブ・ジャマルは現在も入獄中。Justice Does Matter」
  • 「広島に落とされた原爆のクレーターはここから」〜「ここまで。History Does Matter」
  • 「1年間に米国内で生まれる貧困層の新生児はこのビルを満員にする。Inequality Does Matter」
  • 「(絞首縄の写真)...Justice Matters!」
  • 「メキシコから搾取された土地の面積は米国5州ぶん。Imperialism Matters!」

という、公開時の「ゴジラの身長はここから」〜「ここまで。Size Does Matter」というポスター(距離を置いて複数ビルに貼られた)をパロった、スチャラカ映画にそぐなわないキャッチコピーを出してみたり。
時に「It has to start some place, it has to start some time / What better place than here, what better time than now」という歌詞など、あまりにガチガチで青すぎて赤面させられることもありますが、まさに「No Shelter」歌詞にあるとおりthin line between entertainment and warを実践してきたのがRAGEだったわけです。
今回行われた再結成ジャパン・ツアーでもソ連共産党党歌「インターナショナル」テープに乗ってメンバーが登場するという、ガチなのかネタなのか判らないオープニングで、困惑の笑みを浮かべさせてくれました。
でも、こういうアプローチがロックンローラーのイタイ政治ごっこに堕することがないのは、トム・モレロが無茶苦茶頭のいい人だからだと思います。
これまで二度インタビューしたことがありますが、別にハーヴァード大卒だからというわけでなく、訊き手の意図を瞬時に把握して、適切な答えを返してくれる人でした。
THE NIGHTWATCHMAN名義で出した『ONE MAN REVOLUTION』リリース時のインタビューはTONE誌Vol.9で読むことが出来ますが、20分31秒まったく無駄がなく、テープ起こししたらそのまま記事になったというものでした。
ところでこのTONE誌Vol.9はトム・モレロに加えて、当初15分の予定が向こうがノリまくりで2時間になったTHE POLICEのスチュワート・コープランド、ヲタバトルに挑んだJマスシスという、山崎智之のキャリアでベスト・インタビューの部類に入る3本が載っているので、今からでも読んでいただきたいです。
開演前にRADIOHEADの「Creep」が流れ、ガガッとギターが入るところで大歓声が湧いていました。RAGEも僕らも歳をとったのだなと思いました。
ライヴ自体はすごく良かったです。10日にも公演があるので、WITCHCRAFTに行かない人はぜひ行くべきです。