フィリップ・ライノット二十周忌

フィル・ライノットの墓

去年の命日のブログではそのファッションの訳のわからなさを挙げ、"訳のわからなさを力業でカッコよさに転じてしまうのがフィルの魅力"と書きましたが、それは彼の音楽についても言えることです。
名曲「Jailbreak」の歌詞は「今夜、脱獄が起きる/俺たちの何人かは生き残れない...」という緊迫感のあるものですが、
「追っ手のサーチライト/今夜、街の機能がマヒする...」という一節に唐突に出てくるフレーズが「ヘイユー!グッド・ルッキン・フィメール!カムヒア!」。
それまで脱獄がどうとか歌っていたのに突然「よお、可愛い姉ちゃん!」とズッコケさせながら、それを強引にロック史上に残る名曲にしてしまうのだから、やはりフィルは凄かったのですね。


で、今年もシン・リジィに聴き浸ったわけですが、毎年欠かせないのが『英雄物語 THE CONTINUING SAGA OF THE AGEING ORPHANS』なのです。

バンドの初期、デッカ時代のコンピレーションで、垢抜けない牧歌的なメロディの数々が今聴いても新鮮です。
しかも本盤用に4曲のオーヴァーダビングでゲイリー・ムーアが参加。
「ダブリン」の荘厳なイントロ、「いとしのサラ」の泣きソロ、「スロー・ブルース」のブルース・プレイ、「ダウン・アット・ザ・ファーム」の縦横無尽な速弾きなど、どれも見事なギター・プレイを聴かせています。
未CD化ながら、ぜひ押さえていただきたいです。